日本人は何気なく使っている「あげる、くれる、もらう」という表現。実は日本語を勉強する外国人にとっては、複雑でなかなか理解できません。「もらう」は英語でいう ‘to receive’ にあたります。しかし、「あげる」と「くれる」はどちらも ‘to give’ になってしまうのです。ですので、あげる」と「くれる」の違いを明確にして説明する必要があります。
基本的には、誰の視点から話すのか、あげる人ともらう人、そして話す人の関係性によって使い分けられています。
これを理解するためにはまず、日本語の「内(ウチ)と外(ソト)」の概念を知る必要があります。
日本語を話す時、私たちは知らず知らずのうちに人間関係に「内と外」の境界線を引いているのです。
内(ウチ)というのは、自分、家族、友人、その他親しい人を指します。
そして、それ以外のすべての人は外(ソト)に分類されます。
「あげる、くれる、もらう」の使い方を表と図にまとめてみました。これをもとに説明すると、わかりやすいと思います。
動詞 (基本形) |
動詞 (過去形) |
動詞 (丁寧形) |
動詞 (丁寧形過去) |
授与の方向 |
あげる | あげた | あげます | あげました | 自分→内 自分→外 内→外 外→外 |
くれる | くれた | くれます | くれました | 内→自分 外→自分 外→内 |
もらう | もらった | もらいます | もらいました | 誰でも→誰でも |
「あげる」
「あげる」は与える人 (giver)が主語の文章で使えます。
どんな時に使える?
- 自分 → ウチ(例:私→友達)
- 自分 →ソト (例:私→店員さん)
- ウチ → ソト(例:私の姉→店員さん)
- ソト → ソト(例:知らない人→店員さん)
文章の作り方: 「与える人」+「は/が」+「受け取る人」+「に」+「モノ(目的語)」+「を」+「あげる」
例文:
私は友達に花をあげた。(I gave a flower to my friend.)
「くれる」
「くれる」も与える人 (giver)が主語の文章で使えます。
どんな時に使える?
- ウチ →自分(例:友達→私)
- ソト →自分(例:店員さん→私)
- ソト →ウチ(例:店員さん→私の妹)
文章の作り方:「与える人」+「は/が」+「受け取る人」+「に」+「モノ(目的語)」+「を」+「くれる」
例文:
友達は妹に本をくれた。(My friend gave a book to my younger sister.)
「もらう」
受け取る表現は「もらう」の一種類しかないので、理解しやすいと思います。受け取る人(receiver)が主語の文章で使えます。
文章の作り方:
「与える人」+「から」+「モノ(目的語)」+「を」+「もらう」
「受け取る人」+「は/が 」+「与える人」+「に」 +「モノ(目的語)」+「を」+「もらう」
例文:
友達から土産をもらった。(I received a souvenir from my friend.)
同じ意味の2つの文章を見てみましょう。まずは、「あげる」と「もらう」を使った文です。
私は友達に花をあげた。(I gave a flower to my friend.)
友達は私に花をもらった。(My friend received a flower from me.)
次は、「くれる」と「もらう」です。
友達は母に本をくれた。(My friend gave a book to my mother.)
母は友達に本をもらった。(My mother received a book from my friend.)
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