全世界には1000以上もの言語があり、そのうち現在日常的に話されている言語は約100ヶ国語ほどと言われています。言語学者の予想によると、残念ながら、2100年までには何百もの言語が消えてしまうそうです。
多数の言語が失われていってしまう中、生き残ることが出来るのは一体どんな言語でしょうか。
簡単な言語であればあるほど、世代を超えて話され続ける可能性が高くなります。例えば月日を経て広く使われるようになった英語においても、普及するとともに文法や単語が簡素化されていきました。
同様にフランス語においては、書面等の書き言葉としてのフランス語ではラテン語由来の文法が維持されている一方、現在日常的に話されている話し言葉としてのフランス語は、品詞が省略されることが度々あります。
また、元は独自の文字を持っていた言語でも、ラテン文字のアルファベットが使用されるようになった言語も多数存在します。
こういった使用文字の変化はラティニゼーション(latinisation)、もしくはローマナイゼーション(romoanisation)と呼ばれています。
例えばベトナム語には元々文字がありませんでしたが、中国の影響を受けて漢字由来の「チュノム」という文字が使われるようになりました。しかしその後フランスの植民地となり、ラテン文字をベースにした文字が使われるようになりました。
マレー語にも固有の文字がありましたが、イギリス植民地支配を経てラテン文字のアルファベットが使われるようになりました。
トルコ語もかつてはアラビア文字が使われていましたが、文字改革を経て現在はラテン文字が使われるようになりました。
一番簡単な言語について説明する前にまず、外国語を学習する上で一般的にどういったことが難しいのかを見ていきましょう。
1. ラテン文字
文字の側面からみると、ヨーロッパで広く使われているラテン文字が圧倒的に簡単です。
なんといっても覚えるべき文字の数はたったの26文字!子どもや外国語の勉強を始めたばかりの人でも数日でマスターすることができます。
ヨーロッパの文化やテクノロジーが急速に発展できた理由は、文字の簡単さゆえ、文字を覚えるのに何年もかける必要がないからだという研究者もいます。
2. 動詞の活用・時制・人称
過去形、現在形、未来形といった時制を1つずつ学び、動詞の活用を覚えるのは大変ですよね。しかし、そういった時制が存在しない言語も存在します。例えば中国語では動詞を活用する代わりに、時間を表す副詞を加えることで時制を表します。これならシンプルで簡単ですよね。
また、動詞の活用の種類の数も言語によって異なります。英語では主語がhe, she, itといった3人称の場合、sをつけたりすることで動詞を活用しますよね。これは主語がhe, she, itのどれでも同じ活用となり、活用の種類は1種類です。しかしフランス語やスペイン語といったラテン系の言語では、3人称による活用が6種類もあります。
3. 名詞の性、複数形
フランス語、ドイツ語、スペイン語、といったラテン系の言語では名詞に性があり、名詞を覚えるのと同時に「車は女性形」といった性を覚える必要があります。しかし日本語同様、性が存在しない言語も多数存在します。それだけではなく、インドネシア語においてはでは、なんと「彼」も「彼女」も “dia” という同じ単語を使います。「弟」も「妹」も同じ “adik” です。
複数形に関しては、英語では基本的に名詞に ‘s’ を付けますよね。フランス語では名詞だけではなく冠詞、形容詞も形が変わります。スペイン語ではそれに加えて動詞も形を変えなくてはなりません。ですが、中国語やインドネシア語では、日本語と同じように複数形だからといって名詞や形容詞を変化させる必要はありません。「いくつかの、2冊の」といったと数を限定する単語を入れるだけです。
4. 発音
英語の場合、必ずしも単語は見たままを読めば良いわけではなく、中には書かれていても発音しないアルファベットもあるのを覚えてますか? 言語学の研究者による統計によると、英単語のスペルと実際の発音が一致するのは70%程度だそうです。
フランス語においてはわずか50%。つまりフランス語を学ぶ場合、書き言葉と話し言葉の2つの言語を学ぶようなものです。長い歴史の中で、話し言葉としてのフランス語は少しずつ簡略化されていったのに対し、綴りは何世紀にもわたって同じ形が維持されてきたため、このような差異が生まれました。
対照的に、韓国語、ドイツ語、トルコ語では、スペルと発音はほぼ100%一致します。 書いてある通りにそのまま読むだけです。
スペイン語も書いてある通りに発音するので簡単だと思われるかもしれませんが、「r」の発音を習得するにはそれなりの時間を要します。フランス語の「r」も同様に、なかなか難易度が高い発音です。
5. 声調
以下の中国語を見てみましょう。
我可以问你吗?Wǒ kě yǐ wèn nǐ ma ?(ちょっと)お聞きしてもいいですか?
我可以吻你吗?Wǒ kě yǐ wěn nǐ ma ? キスしてもいいですか?
英語で何かを質問する時は、文章の最後の語尾を少し上げたりしますよね。しかし、中国語のような音の高低によって意味を区別する声調がある言語では、ちょっとしたトーンの違いが全く異なる意味になり、誤解を招いてしまうことがあります。中国語(北京語)には4つの声調があり、タイ語は5つ、ベトナム語は6つ、そして広東語には9つの声調がります。外国人にとって声調を学ぶのはひとつの難関となります。
6. 単語
外国語を学ぶにあたって、「単語」の学習は欠かせません。
近隣諸国は文化・歴史といった様々な理由で同じ、もしくは似ている単語が多くなる傾向にあります。遠くの国の言語よりも、自国に近い国の言語を学ぶ方が有利なのは確実です。
近隣諸国で共通しているのは単語だけではありません。文化や伝統といった面でも共通点が多く存在し、言語を学習する上で役立ちます。
言語学者によって考案された人工言語、エスペラント語は多数のヨーロッパ言語の平均的な言語になるように作られたニュートラル(中立)言語です。外国の人と話す際に母国語話者に有利な英語とは異なり、世界中のより多くの人にとってフェアで簡単な言語と言えるかもしれません。
ラテン語は英語やヨーロッパ諸国の多くの言語において、単語の元となっている言語です。ラテン語を学べば、ヨーロッパ言語の単語の習得がより簡単になります。
学習のコツ:単語学習は言語学習をする上で大切なキーポイントとなります。語彙量を増やせば、言語学習は半分終わったようなもの 😊
どうやって単語を覚えるべきか悩んでる方は「単語をより早く覚えるための7つの方法」を参考にしてみてください。
キーワードとなる単語を見つけられれば、文章全体の意味を推測できるようになります。
7. 外来語の数
グローバル化にともない、現代多くの言語において英語由来の外来語がたくさんあります。日本人の私たちにもなじみのある英語由来の外来語が多い言語であればあるほど、単語を学ぶのはより簡単になります。
例えばインドネシア語では、何千語もの語彙は英語の単語に非常に良く似ています。
以下の例を見てみてください。本当に多様な言語からの外来語があることがわかります。
言語 | 元の単語 | インドネシア語の単語 | 日本語訳 |
アラビア語 | (khabar) خبر | kabar | ニュース |
(sabt-u) سبت | sabtu | 土曜日 | |
中国語 | 面 (hokkien: mi) | mi | 麺 |
茶碗 (cháwǎn) | cawan | 湯飲み茶碗 | |
オランダ語 | koelkast | kulkas | 冷蔵庫 |
handdoek | handuk | タオル | |
英語 | internet | internet | インターネット |
satellite | satelit | 衛星 | |
ポルトガル語 | boneca | boneka | 人形 |
festa | pesta | パーティー | |
サンスクリット語 | भूमि (bhoomi) | bumi | 地球 |
भाषा (bhasha) | bahasa | 言語 |
アラビア語、中国語、オランダ語、英語、ポルトガル語、さらにはサンスクリット語由来の言葉もあります。
上記の表のインターネット‘internet’のように、現地化せずに英単語をそのまま使っているケースも多く、その言語を全く知らないと思っている人でもすでにたくさんの単語を知っているかもしれません。
8. 文化を通した教材の豊富さ
どの言語が簡単かを考える際に軽視されがちだけれど大切なもう1つポイントは、その国の文化の人気度です。
例えばフランス語の文法自体は決して簡単ではありません。しかし、フランス映画、アート、フランス料理といったものは身近に多数あり、それらは学習教材にもなり得ます。
同様に、日本の漫画やビデオゲームを通して日本語を学ぶ外国人も多く存在します。
大量に全世界に配信されるハリウッド映画やアメリカのドラマ番組を観ることで、アメリカ英語のリスニング力をアップさせる事もできます。
近年では韓流ドラマやK-popの人気上昇により韓国に興味を持ち、韓国語を学習する人の数も一気に増えました。
英語
英語は月日を経てより広く使われるようになるにつれ、言語そのものがよりシンプルになっていきました。国際的に使用される言語であるため、多くの人は少なくともいくつかの英単語を知っていることでしょう。また、英単語は多くの言語に外来語として浸透しています。日本語をみても英語由来のカタカナの言葉があちこちに溢れていますよね。
多くのラテン系言語やゲルマン系言語とは異なり、名詞・形容詞・冠詞に性はありません。人称も他のヨーロッパ言語に比べるとシンプルです。基本的には三人称の場合に動詞の形が変化するだけで、その他の部分は主語の人称によって変える必要はありません。動詞の語形変化も、時制や人称によって大きく変わることはあまりありません。
言語が広い範囲で使われると、必然的に発音、アクセント、綴り表記、さらには文法も、様々なバリエーションが出てきます。例えば「色」という単語は、アメリカ英語では “color” と表記するのに対し、イギリス英語では “colour” となります。「中心、センター」という単語もアメリカ英語では “center” ですがイギリス英語では “centre” となります。ちなみにどちらが正しいかという議論は常になされており、結論が出ることはなさそうです。
中国語
文法が最も簡単なのは一体どの言語かというと、意外なことに中国語があげられます。中国語にはラテン系の言語にあるような時制や品詞はなく、名詞や形容詞の性別や複数形もありません。また、文字もかつて使用されていた繁体字の漢字から簡体字へと簡素化されています。
(ちなみに簡体字になったことで一見簡単になったように見える漢字ですが、簡体字になったことで似ている漢字が増え、文字を混同してしまうことが増えたため、一見複雑に見える繁体字の方が区別しやすくて簡単だと言われることも多々あります。)
中国語の漢字の数は数千にものぼると言われており、それゆえ中国語は難しいというイメージを持たれがちですが、日本語の漢字を見てもわかるように、実際には限られた部首や文字を組み合わせることで成り立っています。
そのため何千もの文字を一から学ぶ必要はありません。基本となる限られた文字、そして文字の意味さえ学んでしまえば、あとは組み合わせるだけです。漢字は組み合わせることで多数の単語や語彙を作り出せることを考えると、英語の方が覚えるべき単語、語彙が少ないとは言えないはずです。
とはいえ、それぞれの漢字の発音を覚えるのにはそれなりの労力が必要です。中国語を学習する上ではラテン文字で音を表記する拼音(ピンイン)や注音符号が役立つのも事実です。
インドネシア語
インドネシア語は世界で一番簡単な言語と言われることがあります。
本当にそうなのでしょうか?以下のインドネシア語の特徴をみてみましょう。
アルファベット文字
まず、インドネシア語の文字は、英語と同じラテンアルファベット文字が使用されています。ヨーロッパ諸国の言語にみられる “à, ê, ö, ñ”といった特別な文字もありません。また、中国語のような声調もありません。
時制に関する文法がない
英語を勉強する時、現在形・過去形・未来形といった時制の文法を1つずつ学びましたよね?
なんとインドネシア語には、そういった時制がありません!動詞を過去形にしたりする必要もありません。
時間に関する副詞を文章に入れるだけで、いつの出来事なのかを指定することができるんです。
語順は通常、英語同様「主語+動詞+目的語」です。しかし、「昨日」といった時制を決める単語を、文章の始めに入れることも、終わりに入れることもできます。
例えば、「私たちは昨日バリに行きました。」を英語にあてはめながら考えるとこうなります。
We (kami) went (pergi) to (ke) Bali yesterday (kemarin).
Kami pergi ke Bali kemarin, または
Kemarin kami pergi ke Bali.
名詞に性がない
フランス語、ドイツ語、スペイン語、といったラテン系の言語では名詞に性があり、名詞を覚えるのと同時に「車は女性形」といった性を覚える必要があります。
しかしインドネシア語には女性形、男性形、そして中性もありません。
それだけではなく、なんと「彼」も「彼女」も “dia” という同じ単語を使います。「弟」も「妹」も同じ “adik” です。簡単ですよね。
複数形がない
英語のように「複数形は ‘s’ を付ける」といったことを考える必要はありません。
複数のものを表す場合は、単語を繰り返すか、「いくつかの」といった単語を入れることで表現します。
車(car) > 車たち(cars)
mobil > mobil-mobil
本(book) > 何冊かの本(some books)
buku > beberapa buku
外来語が多い
インドネシア語を学んでいると、外来語が本当に多いということに気づかされます。
アラビア語、中国語、オランダ語、英語、ポルトガル語、さらにはサンスクリット語由来の言葉もあります。
グローバル化にともない、現代のインドネシア語では英語由来の言葉がたくさんあります。
何千語ものインドネシア語の言葉は英語の単語に非常に良く似ています。
インターネット‘internet’のように、現地化せずに英単語をそのまま使っているケースも多く、インドネシア語は全く知らないと思っている人でもすでにたくさんのインドネシア語を知っているかもしれません。
ちなみにインドネシア語を知っていると、2億6000万人もの人と会話ができるって知っていますか?そのほかにもインドネシア語を学ぶべき理由はまだまだあります。
まとめ
「世界一簡単な言語は何語か?」という問いに答えるのは簡単ではありません。それぞれの人のバックグラウンドによって難易度は異なり、誰にとっても簡単と言える言語はありません。
しかし、あなたにとって簡単な言語を見つけることは可能です。それは、「あなたが一番興味があり、一番役立つと思える」言語です。
忙しい日々の中で外国語を勉強するのは容易ではありません。
少しでも楽して簡単に言語を学べたらいいですよね?
そこで生まれたのが言語学習アプリ「LingoCards」です。
LingoCardsではシンプルな学習方法をで、効率的に外国語を学ぶことができます。
機械学習技術を用いて実際に役立つ単語・語彙を厳選しているため、実際に会話する上で本当に必要とされる必須単語がそろっています。
音声が繰り返し再生されるループ機能を利用すれば、いつでも、どこでもオーディオを聞きながら外国語を学習することが可能です。
学習できる言語の数は52ヶ国語。日本語を含む多様な母国語で学ぶことができ、さらに3ヶ国語以上が学べるマルチリンガルモードを通して複数言語を同時に学ぶことが可能です。
LingoCardsを使えば、外国語学習はあなたが思っているよるもずっと簡単になるはずです。