ニンジンは誰が見てもオレンジ色だと思いますか?キュウリは緑色?それとも青? 実は色の認識は、言語によって異なることが多々あります。
色の数は言語によって違う
英語には「色の基礎名」といわれる基本的な色の名前は「赤、オレンジ、茶色、黄色、緑、青、紫、ピンク、黒、灰色、白」の11個で、日本語もだいたい同じ数だと言われています。
「色の基礎名」とは?
- 「青緑」や「黄緑」のような複合語ではなく、それ以上分割できないことば
- 「空色」や「水色」といったモノの名前を借りたものではなく、モノの名前と関係なく存在する名前
- 「これは何色?」と聞かれた時にその言語を母語とする人の大半が「○○」と答える言葉
「暗い青」と「明るい青」を2つの基礎名で区別するロシア語やギリシャ語では13個の基礎名があります。 しかし、色の基礎名が赤、黄、白のように3つしかない言語も多数あります。 パプアニューギニアのダニ族という部族の言語では、色の名前が寒色(青、緑、黒にまたがる色)か暖色(赤から黄色にかけての色、白など)の2つしかありません。
青と緑は同じ色!?
「青と黄色の絵の具を混ぜたら緑色になる」ということは、多くの日本人にとっては当たり前のことですよね。 しかし、世界中の言語を見渡して見ると、そうでもないということがわかってきます。例えばアラビア語モロッコ方言のシルハ語では青と緑を区別しません。実はこれはシルハ語に限ったとこではなく、青と緑を区別しない言語は多数あります。日本でも、昔は緑色という概念がありませんでした。緑色の信号を見て青信号というのは、その名残なのではないかと思います。 それとは反対に韓国語のように緑をさらに細かく分け、黄緑と緑を異なる2つの基礎名として扱っている言語もあります。
色の数から垣間見える文化
色の基礎名の数は、その言葉が話されている地域の文化を反映しているのではないでしょうか。 生活する上で色を細かく区別する必要がない地域では、基礎名の数は少なくなります。赤も黄色も「暖色」としか言い表せない言語もあれば、黄緑と緑を明確に区別することが重要視されている言語もあるというのは、おもしろいですよね。
日本語の「オレンジ色」と英語の「Orange」は違う
英語と日本語の色の基礎名の数はだいたい同じです。しかし、同じ名前の色でも、指し示す色の範囲は同じとは限らないのです。 例えば、英語話者のイギリス人と日本人が同じ猫を見たとします。日本人から見ると明るい薄茶色にしか見えない猫のことを、イギリス人は「orange cat」と言います。
なぜこのようなことが起こるんでしょうか? 実は、色の境界線が言語によって異なるからです。イギリス人にとっては明るい薄茶色の猫も、人参もオレンジ色の範囲に入るのです。これはオレンジと茶色の境界線だけではなく、ピンク色と紫色の境界線など、他の色にも言えることです。
もし外国人と話す機会があったら、色々なモノを見て「これは何色?」と聞いてみてください。自分が思っている色と違う色の名前を言われたら、面白い発見ができるかもしれません。 決して「いや、これはどう見てもピンクじゃなくて紫色!」と言い合いにならないように。そもそも色の概念が違うので、どちらかが間違っているわけではなく、どちらも正しいのです。
外国語の色の名前を知りたい場合は、LingoCardsをチェック!