記憶は記憶時間の長さから『短期記憶』、『長期記憶』に分けられます。『短期記憶』は電話番号など、物事を一時的に覚えるのに使われ、留めておける情報の容量はかなり限られています。一般的には一度に数個しか覚えることができません。一方、永続的に記憶することができる『長期記憶』の容量はとてつもなく大きいのです。単語を覚える場合、『長期記憶』にしたいですよね。つまり、どうやって『短期記憶』から『長期記憶』に変えていくかが重要になります。
この記憶のメカニズムを踏まえて、単語を覚えるための7つの方法を紹介していきます。
単語をただ目で追って読んで勉強してる、もしくはイヤホンで通学中や通勤中に単語の音だけ聞いて勉強するという人はいませんか。電車の中や図書館といった公共の場では声に出すことができないので、発音して勉強する機会をつくるのは難しいですよね。わかります。けれど、単語を聞いて声に出すというのは、とても重要なステップで、絶対にこのステップを飛ばしてはいけません。なぜでしょうか。
聞かなければ、正しい発音は学べません。
正しい発音を知らなければ、単語を聞き取ることができません。
さらに、正しく発音できなければ、正しく文章を読み上げることもできません。
単語を覚えるために最適な順序は「見る>聞く>声に出す>(必要に応じて)書く)」というようになります。
こうすることで、目・耳・口といったカラダを使って覚えることができます。カラダを使うことで単語を関連づけて覚えられるようになり、長期記憶に変換しやすくなります。どれだけ大変でも、家で声に出して勉強できる時間を確保することを真剣に考えてみてください。その価値は絶対にあります。
単語帳を見ると、とてつもない数の単語が載っていて、永遠に終わらないような気がしてしまいませんか?長い長い単語リストをみるとやる気をなくしてしまいますよね。そんな時は、単語を小さなグループにまとめて区切ってしまい、その日に勉強するグループを選んでみましょう。本であれば、何ページずつと決めて区切ってもいいですし、自分でグループを作って「今日は野菜と果物の単語を覚える!」というようにゴール設定してみてもいいと思います。この方がやる気が出ませんか?さらに、単語をグループ分けして覚えることで、それぞれの単語が関連づけられ、長期記憶を強化することができます。
基本的なコミュニケーションをとれるようになるためには、まず初めに基礎単語を500語程度覚えるのは必須です。それが終わったら、次のステップとして自分にとって必要な単語や興味のある分野の単語を選んでみましょう。自分の仕事に関連する語彙、趣味や日常生活で使う語彙を勉強すれば、自然とその単語を使う頻度が増えます。好きなことに関する単語なら覚えるのも楽しいですよね。こういった実用的な単語や楽しめる分野の単語は、勉強を続けるモチベーションにも繋がります。
せっかく単語を覚えてもすぐに忘れてしまうから、定着させるのは難しいと思っていませんか?確かにその通りです。初めて新しい単語を目にした場合、短期記憶のメモリーに保存されるので、しばらくすると忘れてしまいます。そうなんです、忘れるのはいたって普通のことなんです。忘れることを恐れる必要はまったくありません!
けれど、やっぱり忘れたくないですよね。忘れないようにするためのただ一つの方法は、繰り返すことです。なんの新鮮味もない、言い古された方法かもしれません。けれど、これが一番シンプルで大切な方法です。同じ単語を繰り返し見ると、脳はそれを重要な単語だと認識して長期記憶のメモリーに保存します。その状態になれば、もうなかなか忘れることはありません。
注意:確認テストは急がずに!
どれくらい単語が定着したか確認するために、単語テストをすることがありますよね。どの単語がまだうる覚えなのかを確認するのには、とてもいい方法だと思います。ただ、早すぎるテストには要注意です。学習した単語のうちの多くがまだ長期記憶メモリーに保存される前にテストすると、脳に大きなストレス負荷がかかり、疲弊してしまいます。言語学習アプリの多くに、新しい単語を覚えた後にクイズ形式で単語テストをするものが見られますが、あまりにも早すぎる段階でのテストを導入しているアプリが多いです。これだとクイズに正解しなければいけないというストレスや、不正解が多かった時のショックで勉強するのをやめてしまうかもしれません。
ですので、まずはとにかく何度も繰り返し見て、聞いて、発音することが大切です。ある程度覚えたかな、という自信がついてきたら単語テストの出番です。テストをして覚えていない単語だけを集中的に勉強することで、効率的に定着度を上げていくことができます。
単語を効率的に覚えるためのもう一つの方法は、文脈、つまり文の前後関係から学ぶことです。一つの単語だけを見ていても、実際にどういった状況で使われるのかがわからないと意味が覚えられないこともありますよね。そんな時は、その単語が含まれた文章を、一文まるごと覚えてしまうといいです。文脈も合わせて覚えることで、脳への定着度も上がります。
例文が載っている単語帳もありますが、自分でその単語を使って文章を作ってしまうのも一つの手です。
例えば、ペン(pen)という単語を覚えたい場合:
– I want to buy a pen. (ペンを買いたいです。)
– Can I borrow your pen? (ペン貸してくれない?)
– My father bought me this pen from Paris. (お父さんがパリでこのペンを私に買ってきてくれました。)
実際にその単語を使う状況を想定して文を作ってみてください。そうすることで、飛躍的に実用的になります。
もちろん、すべての単語の文を一つずつ作るのは大変です。「なかなか覚えられないな」という単語を選んで、文章を作ってみるといいと思います。
ここまで、繰り返すことの大切さを何度も述べてきました。とてもシンプルなことですが、実は継続するのは容易ではありません。三日坊主にならないためには、自分の1日のスケジュールに組み込んでしまいましょう。朝起きたら、ランチの後、寝る前など自分のライフスタイルに合わせて一番できそうな時間帯に設定してみてください。忘れてしまいそうなら、スマートフォンでその時間になったら通知がくるように、リマインダーを設定するのもいいと思います。
よく、言語学習は筋トレに似ていると言われます。その効果はすぐには見えないけれど、継続すれば確実に結果につながります。
最後に、これまで述べてきた方法のほとんどが LingoCards アプリでは網羅されています。